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魔法科高校の劣等生 四葉継承編:深雪の秘めた思いを主軸に ジミー ストーン監督の異色キャリアと演出論 スタッフインタビュー

アニメ「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」の一場面(C)2024 佐島 勤/KADOKAWA/魔法科高校四葉継承編製作委員会

 電撃文庫(KADOKAWA)の人気ライトノベルが原作のアニメ「魔法科高校の劣等生」の劇場版「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」が5月8日に公開される。四葉家の当主の四葉真夜と分家の当主たちが一堂に会する集いで、四葉家次期当主が指名されることになり、“最強”の兄妹に隠された衝撃の真実が告げられる。テレビアニメ第1シーズンから「魔法科高校の劣等生」に参加し、第3シーズンでは監督を務めたジミー ストーンさんが劇場版も引き続き手掛けることになった。ジミー ストーン監督とアニプレックスの黒井瞳プロデューサーに制作の裏側を聞いた。

 ◇劇場版だからできたこと

 --「四葉継承編」をアニメ化する際に核となると考えたことは?

 ジミー ストーン監督 原作小説でも人気のエピソードです。特にダークな部分やシリアスな部分を強調しなければいけないなと思っていました。達也が主人公ではありますが、今回は深雪の比重が大きく、深雪が主人公くらいのつもりで作っています。いわゆる完璧なお嬢様のようなところが強く、お兄様に対して秘めた気持ちがあるところは随所で見せてはいましたが、今回は秘めた気持ちがメインになっています。

 黒井プロデューサー 達也と深雪の関係性に一区切りつくところを見せたいという思いがあって、第3シーズンと「四葉継承編」をセットで考え、ジミーさんに監督をお願いしました。原作で「四葉継承編」は一冊で描かれていますし、テレビシリーズで毎週お届けするよりも、劇場版として一気に見ていただきたいと考えていたためです。

 ジミー ストーン監督 バトルあり、深雪の美しいところありで……。

 黒井プロデューサー ジミーさんの素晴らしい演出で「深雪の美しいところを見たい!」という気持ちもありました。

 ジミー ストーン監督 最初はプレッシャーがすごかったです。第3シーズンでテレビシリーズの監督をさせていただくのも初めてでしたし、映画の監督も初めてです。元々、映画が好きですが、約1時間半を一気に見ていただくことになるので、どうしよう!?となって。キャラクターデザイン、総作画監督の石田可奈さんやプロデューサー、皆様とも相談しました。具体的には、舞台設定として四葉家という場所が見せ場になってきます。さまざまなアイデアを入れることができますし、プレッシャーがあり、大変ではありますが、楽しくなってきました。

 --四葉家をどのように描こうとした?

 ジミー ストーン監督 映像として四葉家がただ者ではないところを出そうとしました。バブルの頃のお金持ちの家をイメージして、階段や水槽があったりというのを石田さんと一緒に考えました。部屋が暗く、照明はろうそくで、鯉が泳いでいて……とアイデアを詰め込んでいます。BG(背景)ではなく、3DCGで部屋を作っていて、劇場版だからできたところもあります。各シーンのトーンに合わせて、全ての部屋をなるべく違う雰囲気にしていて、そこも演出として考えたところです。

 黒井プロデューサー 完成した映像を見ると、派手ではあるのですが、キャラクターの会話を邪魔しませんし、舞台装置としてしっかり機能しています。ジミーさんの素晴らしい発想だと思っています。私が何度も見てしまったのは、四葉家の成り立ちを説明する回想のシーンです。コンテを見たときも、すごいことになりそうだと思っていましたが、映像になるとビジュアルのインパクトがすごいのに、内容もしっかり入ってきます。後半、大事な内容の会話シーンが続きますが、飽きずに見ることができます。

 ジミー ストーン監督 テレビシリーズとは場面設計も変えています。シーンによって作画で影付けを変えていて、色も含めて大きく変わるようにしています。石田さんは、イラストレーターでもあって、原作小説でイラストも描かれていますし、ビジュアルの表現を研究しています。ほかのイラスト作品でも流行の色合いがあり、石田さんがそれを吸収しつつ、表現を入れています。例えば、勝成との戦闘シーンがありますが、夕方に差し掛かっているので、キャラクターの端にリムライトと呼んでいる光を入れています。イラストで流行していて、アニメの方にも逆輸入して入れています。「魔法科高校」のアニメがスタートしたのは10年前ですから、イラストや映像表現の流行も変わっているので、新しい表現を取り入れています。

 ◇ジミー ストーン監督がアニメ業界入りした経緯

 --プロデューサーから見てジミー ストーン監督の魅力は?

 黒井プロデューサー 「ジミーさんっぽいな」と感じるのはメリハリのついた戦闘シーンです。可愛いシーンのデフォルメした動きも“らしさ”がありますし、そこをしっかり拾ってくれると思っています。制作面では、全員の意見をしっかり聞いてくださる方なので、頼もしい存在です。

 --監督はテレビアニメ第1シーズンから参加されています。それまでのキャリアは?

 ジミー ストーン監督 第1シーズンは演出はしておらず、メカデザインやアクションシーンの作画をしていました。その前は「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」「アクエリオンEVOL」などの作画監督もしていました。

 --石田さんは、監督の先輩にあたるのでしょうか?

 ジミー ストーン監督 そうですね。頼りになる先輩です。最初に「コードギアス R2」で一緒になりました。先ほど、黒井さんが「人の意見を聞く」というお話がありましたが、石田さんがそうなんです。それを見て自分も教わりました。石田さんは人間的にも素晴らしくて尊敬しています。アニメは関わっている全員で作るもので、一人では作れません。集団作業なので、全ての部署の方々の意見を大事にしようとしています。さまざまなアイデアをいただき、それぞれの良さを出しながら作っていくのが監督の面白いところだと思っています。

 --アニメ業界に入るきっかけは? 日本生まれ、日本育ちと聞いたのですが。

 ジミー ストーン監督 そうです。世代的には1990年代のアニメがストライクです。中高生くらいで将来のことを考えるようになって、その頃に「エヴァンゲリオン」がブームになっていて、アニメがやりたいと本気になったのがきっかけです。小平の高校に通っていたのですが、近くにタツノコプロがあって、家族から「行ってみたらいいんじゃない」と言われていて、高校を卒業して、タツノコの門をたたきました。

 --アニメの専門学校には行っていない?

 ジミー ストーン監督 そうです。子供の頃から自己流ですが絵ばかり描いていました。落書きがたくさんたまっていて、家族から「タツノコに持っていけばいいじゃん」と言われて、最初は、恥ずかしいから嫌がっていたのですが、持っていくことになったんです。高校の制服を着てタツノコに行ったけど、やっぱり緊張して入れなくて。そうしたら、タツノコプロの笹川ひろしさんが車から出てきて「君、何してるの?」と言われて、「高校生なんですけど、卒業してアニメーターになりたいんです」と話したら、絵を見てくださったんです。そのときは「よく描けてるじゃない。イラストレーターになりなよ。アニメーターよりいいかもよ。もっと考えなさい」と言われたのですが、もう一回持っていったんです。それでタツノコの養成所に入れていただいたんです。

 --「魔法科高校の劣等生」ではこれまでメカニックデザインやメカ作画監督も担当されていますが、その頃からメカに強かった?

 ジミー ストーン監督 1990年代は「ガンダム」や「勇者シリーズ」などを見てきましたし、メカは好きで、いつか「ガンダム」をやりたいと思っていました。タツノコで二原(第二原画)をしてみる?となった時期に「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の原画の話がタツノコにきて、参加させてもらえることになりました。それからはずっと「ガンダム」を描いていました。その後、「コードギアス R2」に参加したりしながら、ロボットがメインで、たまにキャラクターを描かせてもらうこともあるような感じでしたね。「コードギアス R2」の現場で石田さんと会って、仲良くさせていただくようになったんです。

 --石田さんとの出会いが「魔法科高校の劣等生」につながっていく?

 ジミー ストーン監督 そうですね。「コードギアス」はすごく豪華なメンバーが集まっていて、石田さんは若手でした。その後、「機動戦士ガンダムUC」もやっていたのですが、何年かやっていくうちに、ほかの仕事もできる余裕が出てきて、石田さんから「ほかの仕事もやってみる?」と話をいただいて、「マクロスF」の劇場版を手伝ったり、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」でもご一緒させていただきました。「魔法科高校の劣等生」の原作が電撃文庫から出ることになって、石田さんがイラストを担当するのですが、編集の三木一馬さんから「メカはどうするの?」という話になって「ジミーさんが描きますから」となって(笑)。それからですね。

 --「魔法科高校の劣等生」は原作からずっと関わっているんですね。

 ジミー ストーン監督 そうなりますね。こんな話をするのは恥ずかしいのですが(笑)。

 “最強”の兄妹の絆の核心に触れる「四葉継承編」では、どのような結末を迎えるのか。深雪の秘めた思いが解き放たれる瞬間を、その目で見届けてほしい。(阿仁間満/MANTANWEB)

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